テーロー(古希: Θηρώ, Thērō)は、ギリシア神話の女性である。長母音を省略してテロとも表記される。主に、
- アレースの乳母
- ピューラースの1人
の2名が知られている。以下に説明する。
アレースの乳母
このテーローは、軍神アレースの乳母。スパルタにおけるアレース・テーリタース信仰はディオスクーロイがコルキスから持ち帰ったと伝えられるアレース神像に由来するが、異名のテーリタースは乳母のテーローから取られている。しかしパウサニアスはギリシア人の間ではアレースの乳母をテーローとする伝承は知られておらず、コルキス人からアレースの異名が伝わった際に乳母の伝承も伝わったのではないかと述べている。
ピューラースの娘
このテーローは、イオラーオスとメガラーの娘レイペピレーとピューラース(ヘーラクレイダイの1人アンティオコスの子)の娘で、ヒッポテースと兄妹。アポローン神との間にカイローンを生んだ。ヘーシオドスは彼女の美しさを夜空に輝く月に喩えた。ボイオーティア地方のカイローネイアの地名は彼女の息子のカイローンに由来するという。
系譜
その他のテーロー
- 女神アルテミスの信者。
脚注
参考文献
- パウサニアス『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店(1960年)

