グランド・トランク・コーポレーション(英語: Grand Trunk Corporation、略称:GTC、GT)はアメリカ合衆国の一級鉄道会社。カナダのカナディアン・ナショナル鉄道(CN)が所有する子会社で、CNのアメリカ合衆国における資産を保有・管理する持ち株会社である。アメリカ鉄道協会による分類で、2002年度より一級鉄道に分類されている。
1970年9月に、グランド・トランク・インダストリーズ(Grand Trunk Industries, Inc)として創業され、11月にグランド・トランク・コーポレーションと改称された。1971年に、グランド・トランク・ウェスタン(Grand Trunk Western)、セントラル・バーモント鉄道(Central Vermont Railway)、ダルース・ウィニペグ・パシフィック鉄道(Duluth, Winnipeg and Pacific Railway)などCNの米国資産の管理権を獲得し、その後も主に他の鉄道持ち株会社を買収することなどにより規模拡大していった。1999年にイリノイ・セントラル鉄道(Illinois Central Railroad、IC)、2001年にウィスコンシン・セントラル(Wisconsin Central Transportation Corporation、WC)、2008年にグレート・レイクス・トランスポーテーション(Great Lakes Transportation)、エルジン・ジョリエット&イースタン鉄道(Elgin, Joliet and Eastern Railway)を買収した。
アメリカのロックバンドグランド・ファンク・レイルロードの名前のもとになったことでも知られている。
傘下鉄道
グランド・トランク・ウェスタンとして
グランド・トランク・ウェスタンは、もともと19世紀のいくつものミシガン州の鉄道から生まれた。
主要幹線
グランド・トランク・ウェスタン(Grand Trunk Western)は、グランド・トランク鉄道 (Grand Trunk Railway、GTR)をシカゴからミシガン湖下流に接続する幹線として敷設された。GTRの敷設目的はメイン州ポートランドの貿易港からトロントとモントリオールを含むカナダ植民地南部を経由しシカゴへ通じる主要鉄道路線としてだった。
1859年にカナダ西部植民地のサーニアへの路線が開通し、セントクレア川を渡りポート・ヒューロンへのフェリーも開始した。GTRはシカゴ・デトロイト・カナダ・グランド・トランク・ジャンクション鉄道をリースしデトロイトまでの路線を確保し、デトロイトからはミシガン・セントラル鉄道の路線を走り、シカゴまで通じていた。ポートヒューロンからデトロイトまでは12歳のトーマス・エジソンが車内の新聞売りやキャンディー売りとして初めて働いた場所でもある 。GTRはニューヨーク・セントラル鉄道のウィリアム・ヘンリー・ヴァンダービルトがミシガン・セントラル鉄道を1878年に買収した際、ミシガンを通ってシカゴに通じる路線を確立した。GTRは1877年にすでにシカゴ行きの列車を走らせていた線路の鉄道会社3社を買収することにより、直通路線を確保した。シカゴ・レイクヒューロン鉄道、シカゴ&ノースウェスタン鉄道(C&NE)、ミシガン・インディアナ・ペニンシュラ鉄道(Peninsular Railway of Michigan and Indiana)が併せてポート・ヒューロンからミシガン州フリント、ランシングを通過しインディアナ州ヴァルパレーゾ(ここからピッツバーグ・フォートウェイン&シカゴ鉄道に接続する)へ接続する直通路線となった。しかし、ヴァンダービルトはシカゴ&ノースウェスタン鉄道(C&NE)のフリントからランシングの区間を所有しており、GTRに対し貨物を通すために高額の費用を課していた。ヴァンダービルトはGTRがその路線のすぐ北に直通路線を独自に敷設した際に、C&NEと2社を1879年にGTRに売却。結局1880年にシカゴからヴァルパレーゾまでの直通路線を確立し、ポート・ヒューロンからシカゴまでの路線をシカゴ・グランド・トランク鉄道として開業した。
CNノースアメリカ
1991年12月、カナディアン・ナショナル鉄道は「CN North America(CNノースアメリカ)」としてのコーポレートアイデンティティと自社所有のアメリカ合衆国内の鉄道会社全社の統合によるリストラ計画を発表した。グランド・トランク・ウェスタン(GTW)と他のCN系子会社は全て「CNノースアメリカ」のロゴと社名に置き換えられるところだった。GTWおよびイリノイ・セントラル鉄道やウィスコンシン・セントラルの企業ロゴはCNノースアメリカに置き換えられたが、各社の機関車はCNロゴと黒/オレンジ/白のカラーパターンに置き換えられる予定であった。GTWの青のカラーパターンも一新予定だったが、機関車のペイントはその後数年維持されていた。CNはGTW管理体制もデトロイトからモントリオールに徐々にシフトした。GTWの全路線はCNの中西部事業部ミシガン地区に統合。グランド・トランク・コーポレーション(GTC)も現在は正式に持ち株会社としてモントリオールに本部を置き、GTWやIC、WC、DWP、GLを含むCNの全資産を傘下に収めている。
ギャラリー
脚注
- Dorin, Patrick C. (1977). The Grand Trunk Western Railroad : A Canadian National Railway (1st ed.). Seattle, WA.: Superior Publishing Co.. ISBN 978-0-8756-4526-1. OCLC 2837267. https://archive.org/details/grandtrunkwester0000dori
- Hofsommer, Don L. (1995). Grand Trunk Corporation, Canadian National Railways in the United States, 1971-1992. ISBN 0-87013-406-X
- Quastler, I. E. (2005). Where the Rails Cross, A History of Durand. ISBN 0-9769858-0-2
- Quastler, I. E.; Whipp, C.P. (2010). Remembering The Grand Trunk Western. ISBN 0-9769858-3-7
- Jerry A. Pinkepank (2004). Grand Trunk Western in Color Volume 1: Steam & Green 1941-1961. ISBN 1-58248-112-1
- Jerry A. Pinkepank (2004). Grand Trunk Western in Color: Visual Redesign, 1962-1982 (Volume 2). ISBN 1-58248-123-7
- Quastler, I. E. (2009). Grand Trunk Western: An Illustrated History. ISBN 0-946985-82-0
- Mika, Nick and Helma (1972). Railways of Canada. ISBN 0-07-082815-6
外部リンク
- "グランド・トランク・ウェスタン(Grand Trunk Western)" 1948年2月10日、 WKZOラジオ番組Western Michigan at Work. 14分38秒、英語。
- グランド・トランク・ウェスタン歴史協会(英語)
- デトロイト川を渡るグランド・トランク・フェリー(写真)



